【現地の経営スタッフ】

海外で事業を展開使用とする場合、現地に派遣する人材をどうするかは重要な課題である。立ち上げ時には、ある程度の陣容を派遣して早期に軌道に乗せることが効果的なことは多い。問題はその後の陣容である。海外の拠点は現地のメンバーにその経営を早期に移管して任せることが原則である。そのためには、経営を任せる幹部スタッフを国内に呼んでトレーニングをし、スムースな移行をはかることが効果的であることが多い。

ところが、現地スタッフへの移行後の運営を心配するあまり、いつまでたっても派遣したスタッフが現地の経営を握ってしまっていて、現地への移行が進まないという構造ができてしまうケースが多い。そのような状態が続くと、現地の経営の上位層は派遣日本人、その下に現地経営陣がいるという階層化が生まれる。さらには、この二つの階層の間のコミュニケーションが悪くなる。さらに悪いことは、多くの派遣者がいることによって、それらの人たちの会話は日本語で行われることが定着する。そのような状態になると、さらに相互のコミュニケーション障害が大きくなる。主要な会議においても通訳を介した会話が必要になり、日々の経営における本音や微妙な問題の情報が遮断されるばかりか、重要な現場の状況が伝わらなくなる。

多くの日本人には囲まれた派遣スタッフたちは、それを常識と思い安心して、さらに現地スタッフとの連携をなおざりにする。最悪の場合には派遣者たちは日常の行動の多くにおいて日本人村


を作ってしまいその中に閉じこもってしまう。このような状況になると、現地スタッフたちは自分たちの将来を考えて、組織から離れていく。そのようになると一層の階層化が進み、現地スタッフへの移行はさらに困難になる。このような状況になると、多くの場合経営状態は悪化していく。現場の問題が幹部に伝わらなくなるばかりか、上部の指示が末端に伝わらなくなり、現場では改善しようとする意識がなくなる。派遣スタッフのコストは一般に現地スタッフに比べてはるかに大きく、収益上への影響も無視できない。

このような現象における根本的原因は、計画時の確固とした現地移行の方針が不明確なこと、同じ文化の人間が多ければ安心だという心理的状態に依存することにある。現地の経営はあくまでも現地の人たちの努力に期待し、派遣された人たちは、早期の移行の支援役であるという認識をしていないことにある。このような状態を打破するためには、グローバルビジネスに責任を持つトップマネジメントの明確な意思表示が不可欠である。

早期に軌道に乗せ、現地化に成功している多くの場合、少人数の派遣スタッフが現地の人たちを支援しながら運営している。現地のマネジメントを育て、彼らの行動を支援することによってローカルな問題に適した現地マネジメントを早期に育てることは、現地の事業経営を早期に軌道に乗せるための戦略でもある。そのためには、現地のスタッフと協調しながら問題解決をしていく能力を持ったグローバルな事業に長けたスタッフ人材を育てること、特にあらゆる場面におけるコミュニケーション力は重要である。



 
  レポート第1弾  「グローバルシステムの開発と運営における諸問題
                         −事例にみる諸問題とその解決のヒント−」


  連載 追加1         派遣スタッフは少ないほどよい

   現地経営    ・日本からの派遣者は少ないほどよい
             ・日本人村をつくらないこと





























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