【地球は回っている】

グローバルなシステムを運営するときに、時差のあることは誰でも理解している。システム保守で短時間でも稼動を止めたりすると、その時間がクリティカルな業務時間になる地域からとたんにクレームが入る。リアルタイムで引当などをやっていると、仕事自体が止まってしまう。地球が回っていることをつい忘れてしまうこともある。こんなシステムは何らかの方法で無停止にするしかない。

このような問題は、バックアップシステムや並行演算などの技術的手段で回避することができる。もし、短時間でも定期的に停止して保守がしたいときには、場合によっては最も影響の少ない時間帯をあらかじめ決めておき、定期的に運営することも可能である。

少し異なるが、各地域により休日の設定が異なる。祝祭日のほか、地域の伝統的行事の時期がある。新年や宗教上の休日がある。これはシステム上の問題ではなく、実務上で注意すべきであるが、その前後のピーク処理などのシステム負荷の問題にも影響することがある。

類似の問題で期間の締め切り時間をどう設定するかがある。時間の締め方で、処理場の大きな差が出ることもあるが、基本ルールを決めておき、それに従って常に同じ方法によって実行すれば問題はない。数時間、いや数分の差で経理上の大きな差が出ることが現実の問題としてあるが、連続した時間区分のどちらかに入れるかの問題であり、ルールに従って実行すればよい。



毎日の時計をどこ設定するかも同様の問題であり、これを決めれば、期間の締め切り時間も自動的にきまる。エビデンスとしての取引伝票類との整合性から、それぞれの地域の公式な時間を基本として、地域ごとに時間が異なることが一般的であるが、本社の所在地などを標準としてでグローバルに統一時間を利用することもできる。その場合の問題は、各地域では締め切り時間が異なり、実務上の感覚との差の違和感がある。同時に、各地域のドキュメントの日付との不整合が起きる。その場合、情報処理上のみ全世界一つの時間帯で扱うことも可能ではある。

細かく言えば、夏時間の採用地域における時間をどうするかの問題がある。しかし、現実にはそのような厳密な時間管理が必要なことはあまりない。

事実、会計年度が4月から次年の3月までである日本企業の海外子会社で、関係する現地法人との関係で1月から12月の会計年度の実績を利用しているところも多い。

地球が回っていることによって生じる二つの問題で、全社は実務上に影響を与えるので、24時間、365日止めないことを原則に運営することが必要であるが、後者は管理上の問題であり統計の問題であるので、法律や地域の規則で許される範囲で一貫性を持って運営すればよい問題である。



 
  レポート第1弾  「グローバルシステムの開発と運営における諸問題
                         −事例にみる諸問題とその解決のヒント−」


  連載第11回              地球は回っている

           ・いつもどこかで誰かが働いている(24時間365日)
   運用    ・締め切り時間をどうするか
           ・時計を合わせる




























Copyrigth (C) Future Knowledge Consulting Co.,Ltd. 2018, All right reserved.