【業務の標準化と言語の統一をどうするか】 グローバルにシステム標準化を図ろうとすると、すべてのシステムの言語を統一することが課題であるが、利用者の立場から考えると各地域の母国語を使いたい。 アジアなど多くの国に展開する事業において、各国語全てに対応することはシステム保守の上からは非常に困難である。一方、日本人は英語のシステムを利用することに比較的大きな抵抗を示すと言える。海外の事業所においてさえ、日本語のシステムを導入しようとする動きさえある。特に、現地に日本からの派遣者が多い事業においてはその傾向が強い。 あるアジアの事業所で、国内で利用しているシステムをそのまま日本語表示での生産管理システムを利用していたが、事業が軌道に乗ると日本人は順次帰国し、最後に工場長と経理担当の二人を残すだけになってしまった。現地の従業員には日本語を理解する人たちもいたが、事業の現地化とともにそのような人も少なくなった。現地工場の人たちは、日本語表示のシステムを、長年の慣れで使いこなしてきたので、あまり抵抗なくそのまま利用していた。 そのうちに、利用中に見慣れないエラーメッセージが発生するようになり、その意味を理解できるのは最後まで残っていた工場長のみになっていた。そのつど、担当者は工場長に意味の説明を求めた。メッセージの表示頻度が高くなると、生産に支障がないように工場長は意味の説明に対応しなければならず、一方本来の |
仕事も多忙であり、ついに悲鳴をあげてしまった。その後、英文表示の新しいシステムに置き換えることになったが、しばらくは日本からの応援者の派遣でしのいだ。 この経緯はある意味では滑稽とも言えるが、グローバルなシステムの変遷の一端を示しているとともに、今後のシステムの在り方を考える上でも大切である。アジア各国では英文表示のシステムを比較的抵抗なく利用しているが、日本国内では、なかなか進まない。 最近は、日・英のみならず、中・韓等を含み自由に言語を切り替えることができるシステムは多くあるが、事業のグローバル化とシステム利用の標準化、さらにはシステム開発と保守の容易性を考えると、言語の統一、すなわち英文表現への統一を進めるべきであろう。 情報システムのみならず、それらで利用されるコード類やID体系などの統一も不可欠な問題であり、これらはすべてグローバルに共有されることが条件になろう。 わが国がグローバルな経営システムのイニシアティブをとるならば、このような言語のグローバリゼーションから始めなければ今後の大きな障害になろう。 |