【システムは利用者の問題解決のためにある】 グローバルシステムに限ったことではないが、システム構築における真のニーズをとらえることは難しい。トップの方針としてシステム導入をすることは決まっていても、現場での問題をどう解決するかは、きちんとした現場業務と問題点の分析能力がなければならない。特に、業務文化の異なる海外現場での業務分析は、現場とのコミュニケーションがどこまでできるか、現場のプロセスの問題点をどこまで理解できるかに関わっている。 現場の問題を一番よく理解しているのは現場の管理者であるが、これらの人たちは現地の人たちであることが殆どであり、彼らとの本音の話がどこまでできるかにかかっている。結局は双方の信頼関係である。あるいは、こちらの手法、手段が優れていることを彼らが強く認識していることである。 一つの課題は、われわれの管理手法の視点から重要であると考えることを、彼らが重要であると思っていないことが多々ある。経営全体のバランスや、課題となっている問題の解決には何が大切かを考え、その解決策としてどうしなければならないか、そのためにはどのようなデータをとらえ、どのようなシステムを導入することが必要かを理解してもらわなければならない。 問題点の解決には、われわれが国内の現場で経験してきた常識が全く通じないことも多い。思いもかけない現象が起こっていることがある。それは、現場でつぶさに観察しなければわからないことが多い。現場のマネジャーたちは彼らの常識として不具合に |
気がつかないことある。時には、実情を話さないことがある。現場の本当の担当者に聞くことが必要であるが、なかなか難しい。ポイントごとのデータを採取して分析し、問題点を突くしかないことも多い。 国内でもよくあることであるが、滞留、在庫、欠品、歩留、効率、稼働率、などの意識が極めて薄いか、ないに等しい現場を見ることがある。場合によっては、これらがなぜ悪いのかという説明から必要なことも多々ある。これは、マネジメントの問題であるが、システムを作り利用するのは現場であり、改善されれば彼ら自身にその恩恵が与えられることを理解させることが大切である。 最近はあまり議論にならないが、現場のチームごとに効率や品質を競うクオリティーサークルは効果が大きい。適切な報奨制度と結びつけた場合の効果は特に顕著なものがある。実質的な、数値上の向上よりも、意識の変化の効果が大きいと感じる。適切に指導すれば、現場に対しても分かりやすい。このような事をしない限り、グラフを書くことも、理解することもなかったような人たちが、議論をしている。システム要求も出てくる。 システムが、現場レベルできちんと動くかどうかは、このような基礎の意識、認識の基盤の上に立つのである。新しい発展や提案もそこから生まれてくる。トップマネジメントのシステムもそのような基礎の上に立っている。 |