【在庫の意味、拠点間在庫の柔軟管理】 あらゆる時点での在庫を見ていると事業の流れが手に取るようにわかる。特にグローバルシステムでは、各拠点のモノの業績と動きが見えるようにすることがシステムそのものであるといってもよい。 拠点の離れた地点でのモノの状態を常に正しく監視することがグローバルマネジメントの原点であるといっても過言ではない。昨今の事業においては、製品であろうが、サービスであろうが、金融であろうが、すべて国境を越えて自由に動いている。これらの商品が、どこかで生まれて、消費されるまでの流れと停滞の最適化が経営システムだと言ってもよい。 生まれてから、消費されるまで、また再生されることもあるが、これらを構成する要素を常に効率よく動かすことが経営であり、その象徴的な現象が在庫であるといってよいのではないだろうか。 話を簡単にするために製造業に例をとるならば、原材料、部品、から加工・組立、検査、を経て、流通システムに乗り、消費者に届くまで、滞りなく流れていれば効率的な事業経営であるといえる。 これらのプロセスの間には、いろいろな組織が介在し、その間に受け渡しが行なわれ、そのために在庫という現象が起こる。一つのプロセスのなかでも、前後の流れの影響で在庫ができる。実はこれがくせものである。 |
在庫は意識的に監視する努力をしないと、気がつかない間に増減する。それが経営にどのような影響を与えているのかが分かりづらい。モノは見えないと不安であるという心理もあり、在庫を見て満足する人もある。在庫がないと不安な人、在庫があると不安な人、この両者の駆け引きで在庫が増減する。ここを効果的にコントロールするのがマネジメントである。在庫の増減には原因があり、そこをつぶさない限りコントロールすることはできない。 在庫はなぜ悪いのか?言うまでもなく在庫は資源の停滞であり、管理コストの増加であり、製品の劣化を伴い、価値の劣化を生む。長期在庫は不良資産として滅却しなければならない。 なぜ在庫は必要なのか?生産、販売プロセスでの欠品をなくし機会喪失を防ぐ安心、安全、のための保険、生産、販売の変動へのリスク回避、などがあろう。 その他、やむを得ない在庫、流通、輸送(とくに海路)があり、この問題はグローバルな事業展開において特に重要で、その高度な対応が欠かせない。グローバル管理システムの主要項目でもある。 流れと在庫の管理はグローバル拠点間管理の主要事項であるが、市場の変化とともに拠点構成と機能分担が変化するので、システムを共通化し、柔軟に各拠点の製品と機能とを交換できるようにしておくことが重要である。特定拠点間の特定製品を対象としたシステムを作ったために、その後の拠点の増加と製品と機能の入れ替えでシステムの作り直しを強いられた苦い経験がある。 |